2012.02.03 21:18|原発
年末のNHK番組「真相追跡ファイル“低線量被曝揺らぐ国際基準”」は、国民のICRPへの幻想を砕いてしまった。私たちには、心のどこかで”ICRPを信頼して安心していたい”気持ちがあった。その気持ちを打ち砕かれてしまった。

そこで、再度ICRP勧告を考えたい。
ICRP勧告は、何度読んでも頭にスーッと入らない。原発事故で想定されるあらゆるケースを検討しているため、わかりにくくなっているようだ。そこで、解かりやすいと思われる東大病院放射線科中川恵一さんのコメントを利用させていただいて、まとめてみたい。

ICRP重要な勧告は2つ。
「緊急時被曝状況における放射線防護に関する委員会勧告」ICRP109号
「原子力事故もしくは緊急時放射線被曝後の長期汚染地域住民の防護に関する委員会勧告」ICRP111号
一言で纏めると、
①平時は、     1mSv/y 
②事故発生時(3月4月の福島)20~100 mSv/y(出来る限り低く)
③事故収束後(現在の福島) 1~20 mSv/y(出来る限り低く)・・1mSv/yを目標

中川先生は、ICRPを理解するポイントを、3点挙げている。第1点は②から③への移行する時期と対応だ。福島事故でも、原子炉のコントロールが出来ないで、長時間経過してしまった。この時間の経過とストレスなどをしっかり考慮して対応を決めていく必要があるとしている。第2点は、被曝量は個人の行動(生活習慣、食習慣、避難方法)で決まってくる。したがって、個人線量の把握が不可欠としている。第3点が最も肝心な点で、防護方策の最適化と正当化が大事としている。最適化とは、被曝がもたらす不利益と関連する経済的・社会的要素(避難生活・収入・仕事・生きがい・誇り)のバランスにより適切な放射線防護の方策が決められるというもの。防護方策の正当化とは、防護方策は、住民に不便の強要をすることになるので、住民に、その根拠を示し理解を得ることが必要であるというもの。
それには、重要な情報はすべて関係者に提供され、意思決定プロセスは第3者に確認できることが大切だとしている。ここが、福島事故対策にあたる政府には徹底的に欠落していると言える。
ICRPは、地域住民とそれ以外の国民の意見の共有と連帯が大事だとしている。日本的に表現するとすれば“絆”が大切と言うことになるのだろうか。

これとは別に、放射能の人体影響について、1月26日中日新聞にやはり東大の細谷紀子さんの発言が掲載されていた。“放射能本当のことを知りたい。線量だけで影響測れぬ”の記事。
「放射線は、年齢によって感受性に違いがある。影響は線量だけでは説明できない。環境因子プラス個人の遺伝的背景それらが総合的に作用するのです。
疫学的にがんが増えるとわかっているのは、100 mSv以上の線量だ。ただ、DNAの損傷は少ない線量でも起きる。100 mSv より下の線量は絶対に安全とは言えないし、絶対危険でもない。」
細谷さんは、“リスクを許容できるレベルは人によって違う”と言っている。と言うことは、ICRPのようにケースによって線を引くことに無理があるのか。

結局、自分の身は自分で守るしかない。命てんでんこだ。

テーマ:原発・放射線量
ジャンル:学問・文化・芸術

tag:ICRP勧告 中川恵一 中日新聞 細谷紀子 防護方策の最適化 正当化

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